読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

フツウをかきまぜる日々

“ひと”にまつわる事柄を、自分の経験とマンガや映画などを絡めて描きます。

弱さを知るには-わたしの場合-

「弱さ」シリーズ。
最後は私がいかに自分の弱さ、自分の限界点に気づいたか、というお話。
 
以前貧困家庭の子どもの学習支援に携わっていた。
週に2回、まなび場に決まった子どもたちが集まりおしゃべりしたり、勉強したりしに来る。
 
ある男子中学生の学習計画を立てるために本人と面談した時のことである。
 
 
「よしじゃあ今後目標にしたいことはある?」
 
「うーん…頑張る!」
 
「よし!どう頑張ろう?」
 
「うーん…頑張る時間をつくる!」
 
「ぃいよし!頑張る時間てどんなかんじ?」
 
「ぐで~とするんじゃなくて~ペンをもってきっちり座って勉強する!」
 
「ぃぃぃぃぃぃいよぅし!1日どれくらい頑張る時間作ろうか?」
 
「5分!!」
 
「ん?」
 
「5分!!!!!」
 
「ご、5分か…。もももうちょっといけるんじゃないかしらん?30分くらいとか…」
 
「いや!5分!」
 
「常識的に考えたらたぶんもうすこしできるんちゃうかな…」
 
「いや!5分!!!!!」
 
「そそそっそそそそうか!うん!5分にしよう!」
 
 
というやり取りがあった。
 
集中する時間が1日5分…。
中学2年でそれでいいのか、いいのか…と私は思わずにはいられなかった。
しかし彼は自分の主張を変えることはなかった…。
 

f:id:pagonasofa:20170120151520j:plain

 
「中学生なら最低30分は集中すべき」というのは言ってしまえば私の価値観に基づいた言説である。
それを‟常識”という根拠のない強権を盾に私の考えを押し付けようとした。
 
私の描く‟常識”に彼は縛られず、自分の思いをしっかりと伝えてきた。
よくよく振り返れば、普段勉強をほとんどしない彼が「5分でもする」と言い出したのは大きな一歩である。
 
彼の価値観に触れ、私は「自分の思い通りにはならないことが、ある」と気づいた。
 
 
普段の生活の中で他人(ひと)の考えや思いを深く知る機会はあまりない。
むしろ自分のそれと他人のそれがぶつかることを恐れ、出すことを控えることが多いかもしれない。
 
本音をぶつけ合える、そんな関係性が中学生の彼と私の間にあった。
 
「弱さ」。
それは他人との対等な関係から見えてくると、私は思う。