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フツウをかきまぜる日々

“ひと”にまつわる事柄を、自分の経験とマンガや映画などを絡めて描きます。

スネ毛を語ると人生は開く

私はスネ毛が濃い。
 
肌が白い(美白ではなく病的な白さ)上に濃いスネ毛。
それはもう目も当てられない。
 
「毛の濃い人はちょっと…」
「白い肌に濃い毛は気持ち悪いですよね〜」
という男性ファッション雑誌の「ガールが選ぶ!苦手な男性特集!」に載るその言葉に、私は目の前が真っ暗になった。
いつしか短パンを履くのをやめ、永久脱毛しようかと本気で考えた。
 
そんな絶望の淵に立つ私をすくい上げてくれたのは、以前仕事で関わっていた男子中学生たちである。
 
その日私は7分丈くらいのズボンを履いていたのだが、椅子に座ったときにズボンがまくれ、スネが露わになった。
それに目をやった男子生徒が
「にっしー(私のこと)すげえ!スネ毛がフサフサだ!」と声をあげた。
それに応じるように隣にいた生徒たちも
「ほんとだ!男らしい!」と口々に話し出したのだ。
 
な、なんと素直な少年たち。
 
彼らは目を輝かせて私の生い茂ったスネ毛を眺め、口々に誉めたたえる。
 
調子に乗った私は靴下を脱ぎ、
「実はこんなところにも生えてるんだゼ」と足の甲を差し出した。
 
「すっげえ!突然変異かよ!」「なんだこれ!」
 
ああ……
今まで人に見られることのなかった、むしろ隠してきた私の足の甲の毛が日の目をみることがあろうとは…
 
さて、そろそろ私の身内の方は少々気分が悪くなってきたかもしれない。
しかし私は彼らの言葉で、今まで抱えていたコンプレックスから抜けだすことができた。
 
“ダメなこと”と考えてきたことが、視点を変えれば、別の人の目から見れば違う意味になることは意外と多い。
例えば普段ネガティヴにとらえられがちな「内向的」「仕切りたがり」という性格特性も、視点を変えてみると「慎重」「リーダーシップがある」と見ることができる。
 
誰しもコンプレックスはある。
それを誰にも言えない秘密のこと、として隠そうとするのではなく、あえて話題にし、別の視点を持つ人と語り合うべきかもしれない。
 
その時、あなたの目から見ればねじ曲がったスネ毛も、キューティクルなスネ毛になるはずだ。